子どもが欲しい気持ちは同じだった|男性不妊がわかって気づいた夫婦の温度差

はじめに

「病院行かなきゃね」

そう言うのに、夫はなかなか予約を取らない。

私は焦っているのに、夫はいつも通りに見える。

その温度差が苦しくて、何度も同じことで喧嘩をしました。

当時の私は、

「なんで分かってくれないんだろう」

そう思っていました。

でも男性不妊がわかり、治療や手術を経験した今、改めて夫に当時の気持ちを聞いてみると、私が想像していたものとは少し違う本音がありました。

この記事では、男性不妊がわかってから私たち夫婦が感じた温度差と、後になって知った夫の本音についてお話しします。


私は焦っていた。でも夫はそうじゃなかった

私は昔から、

「30歳までには1人目が欲しい」

と思っていました。

将来的には2人くらい子どもがいたらいいな、と考えていたので、結婚した時には自然と

「次は妊活だな」

という気持ちになっていました。

一方で夫に聞いてみると、付き合っていた頃は子どものことをそこまで具体的には考えていなかったそうです。

子どもが欲しくなかったわけではありません。

ただ、

「子どもは1人か2人くらいかな」

という程度で、私ほど明確なイメージは持っていなかったと言います。

さらに、

「真剣に子どものことを考え始めたのは1年くらい前から」

とも話していました。

この話を聞いて、

「あぁ、スタートラインが違ったんだな」

と思いました。

私はずっと将来の家族像を思い描いていた。

でも夫は、まず結婚生活を大切に考えていた。

どちらが悪いわけでもありません。

ただ、同じ方向を向いているつもりで、見ている景色が少し違っていたんです。


男性不妊がわかってから、私だけが前のめりになっていた

夫のブライダルチェックの結果には、

「男性不妊外来の受診と再検査をおすすめします」

と書かれていました。

私はその結果を見た時、正直かなり焦りました。

それまで、

「生理も普通だし、自分たちはきっと大丈夫」

と思っていたからです。

まさか不妊という言葉が、自分たちに関係してくるなんて考えたこともありませんでした。

だから私は、

「早く病院へ行こう」

と思いました。

もし何か問題があるなら早く知りたい。

早く動きたい。

そんな気持ちでいっぱいでした。

でも後から夫に聞くと、

「正直、その時はまだそこまで深刻に考えてなかった」

と言います。

再検査を勧められても、

「念のためかな」

「そんなに悪くないだろう」

くらいに思っていたそうです。

私は不安でいっぱいだったのに、夫はそこまで切迫感を持っていなかった。

同じ結果を見ているのに、受け止め方はまったく違っていました。


「病院行かなきゃね」が一番つらかった

私は何度も夫に言いました。

「病院行った方がいいんじゃない?」

すると夫は、

「そうやね」

「行かなきゃね」

と答えます。

でも予約は取られません。

数週間。

数か月。

何も進まないまま時間だけが過ぎていきました。

カレンダーを見るたびに、

「また1か月過ぎた」

「今月も何も進まなかった」

そんな気持ちになっていました。

当時の私は、

「私だけが焦っている」

そう感じていました。

病院へ行こうと言うたびに、自分が責めているような気持ちになる。

でも言わなければ何も進まない。

だからまた言う。

その繰り返しでした。

今思い返しても、あの時期が一番しんどかったかもしれません。


私は「行く気がない」と思っていた

今回この記事を書くために、夫に改めて当時のことを聞いてみました。

そこで返ってきた言葉に驚きました。

夫は、

「行かなきゃとは思っていた」

と言ったんです。

私はずっと、

「行く気がないんだ」

と思っていました。

でも実際は違いました。

夫は、

「予約を後回しにしていた」

「時間が経つにつれて気持ちが薄れていった」

と話していました。

さらに、

「病院へ行ったら本当に何か見つかるかもしれない」

という怖さも少しあったそうです。

私には何もしないように見えていた行動も、夫なりの不安や戸惑いが隠れていたのかもしれません。

もちろん、だから仕方ないとは思っていません。

当時の私は本当に苦しかったし、たくさん喧嘩もしました。

それでも今振り返ると、私が想像していた理由とは少し違っていたんだなと思います。


温度差を感じていたのは私だけじゃなかった

私はずっと、

「私だけが頑張っている」

と思っていました。

でも夫も、

「温度差は感じていた」

と言います。

そして、

「妻は医療関係だから、自分より敏感なんだと思っていた」

とも話していました。

私は妊活のことばかり考えていました。

調べて、不安になって、また調べて。

でも夫は、仕事や趣味、自分の時間も大切にしていました。

その姿を見てイライラすることもありました。

けれど夫からすると、それはいつも通りの日常だったんです。

お互い相手を理解できないまま、

「なんで分かってくれないの?」

と思っていたのかもしれません。


喧嘩のたびに傷ついていたのは私だけじゃなかった

妊活中、一番大きな喧嘩をしたことがあります。

私は、

「どうして行動してくれないの?」

という気持ちをぶつけました。

夫にその時のことを聞くと、

「最初はめんどくさいと思った」

と返ってきました。

正直すぎて思わず笑ってしまいました。

でもその後に続いた言葉が印象的でした。

「何回か同じ喧嘩をするうちに、本当に行かなきゃいけないんだと思うようになった」

私は、

「何度言っても伝わらない」

と思っていました。

でも夫の中では、少しずつ現実と向き合うきっかけになっていたようです。

さらに、

「当時、私にどうしてほしかった?」

と聞いてみました。

すると夫は、

「何度も言われるのは正直めんどくさいと思ってた」

と笑いながら話しました。

でも続けて、

「だったらもっと強制的に言ってほしかった」

とも言ったんです。

例えば、

「この日病院行こう」

とか、

「予約したから行こう」

とか。

私はずっと、

“自分で予約して、自分で動いてほしい”

と思っていました。

だから何度も声をかけていたんです。

でも夫からすると、

「行かなきゃとは思っていたけど、自分ではなかなか動けなかった」

そうです。

さらに、

「予約してくれるって期待されて、できなかったら不機嫌になられるのがしんどかった」

とも話していました。

その言葉を聞いた時、

私は夫に行動を求めていたつもりでしたが、夫はプレッシャーとして受け取っていた部分もあったのかもしれないと思いました。


「結婚しない方が良かったのかもしれない」夫が抱えていた罪悪感

精液検査の結果は、

「自然妊娠を期待するには非常に不良な結果です」

というものでした。

さらに精索静脈瘤も見つかりました。

私は結果を聞いた時、ショックと不安で頭がいっぱいになりました。

でも夫は、

「思っていた通りだった」

と言います。

持病のこともあり、

「良い結果は最初から期待していなかった」

そうです。

そして夫は、こんなことも話してくれました。

「自分が原因かもしれないと思った時は、結婚しない方が良かったのかもしれないと思った」

最初に聞いた時は驚きました。

でも詳しく聞くと、私との結婚を後悔していたわけではありませんでした。

私が昔から子どもを望んでいることを知っていたからこそ、

「その願いを叶えてあげられないかもしれない」

そう思ったそうです。

私は夫に手術や治療を受けさせてしまう申し訳なさを感じていました。

でも夫もまた、

「子どもを望んでいる私に申し訳ない」

という気持ちを抱えていました。

お互い相手のことを考えていたのに、その気持ちをうまく言葉にできていなかったんです。


今なら分かる。本当に話し合うべきだったこと

夫に、

「妊活前に話しておけばよかったことは?」

と聞いた時、こんな答えが返ってきました。

「自分はそこまで急いでいなかったのに、同じ気持ちみたいに見せてしまった」

私はずっと、

夫も私と同じペースで妊活を考えていると思っていました。

でも実際は違った。

そして夫も、その違いを言葉にできていなかった。

だから温度差が生まれてしまったんだと思います。

今振り返ると、

私は「早く妊活を進めたい人」。

夫は「まず結婚生活を大切にしたい人」。

子どもが欲しい気持ちは同じだったのに、進むスピードが違っていたんです。


まとめ

私たちは、

「子どもが欲しいね」

という話はしていました。

でも、

妊活をどう進めるのか。

どれくらい急いでいるのか。

病院はいつ行くのか。

もし思うようにいかなかったらどうするのか。

そういったことは、ほとんど話していませんでした。

今思うのは、

妊活前に話し合っておけばよかったのは、「子どもが欲しいかどうか」ではなく、

「妊活とどう向き合っていくか」

だったということです。

あの頃の私は、

「なんで分かってくれないの?」

そう思っていました。

でも今は、

夫も夫なりに不安や怖さ、そして罪悪感を抱えながら向き合おうとしていたことが分かります。

妊活は、夫婦でまったく同じ気持ちになることではなく、

お互いがどんな気持ちでいるのかを知ろうとすることが大切なのかもしれません。

もし今、パートナーとの温度差に悩んでいる方がいたら。

相手は協力したくないのではなく、不安や戸惑いを抱えているのかもしれません。

私たちも遠回りしましたが、話し合いを重ねながら少しずつ同じ方向を向けるようになりました。

この経験が、誰かの夫婦の会話のきっかけになれば嬉しいです。

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