手術を受けると決まってから、彼は少しずつ現実と向き合うようになっていました。
説明書を読み返したり、
手術前の検査日を確認したり。
私も不安がないわけではありませんでしたが、
それでも「ちゃんと進んでいる」という感覚があり、
少しだけ安心していました。
そんな中で、
彼が再度受診したときのことでした。
エコー検査で膀胱付近に出血の所見が見られたことから、
医師から
「念のためマイコプラズマ・ウレアプラズマも検査しておきましょう」
と提案がありました。
彼がその検査結果をききに行った日の夕方、
「後で電話できる?」とLINEが来ました。
私は特に深刻な話だとは思わず、
仕事が終わっていたので「もうできるよ〜」と返しました。
しばらくして電話が鳴りました。
出ると、
いつもより少しだけ低い声の彼。
「検査終わった?」
「うん、終わったよ」
短いやり取りのあと、
少しの沈黙がありました。
その間で、
何かあったんかなと感じました。
彼は少し息を整えてから言いました。
「ショック受けるかもしれんけど、ちゃんと聞いてね」
そして続けました。
「ウレアプラズマ陽性だった」
「ごめん、もしかしたら移してしまってるかもしれない」
「明日休みでしょ?予約取ったから、一緒に病院行こう」
一気に言われた内容を、
頭では理解しているのに気持ちが追いつきませんでした。
気づいたら私は、
「……ショック」とだけ口にしていました。
それが精一杯でした。
ただその一方で、
胸の奥に別の感覚もありました。
ずっと続いていた、
原因の分からないおりものの異常。
どこへ行っても「細菌性膣炎ですね」と言われ続けた日々。
それがようやく、
一本の線につながるかもしれないという感覚でした。
まだ確定ではないのに、
長く続いていた不安に、初めて輪郭が与えられたような感覚でした。
そしてこの日から
私たちは一緒に治療へ進むことになりました。

