第1話 30までに子供が欲しかった私と、“結婚は30くらいでいい”と言った彼

30までに子どもが欲しかった私

私たちの出会いは、マッチングアプリでした。

彼は一つ年上で、一緒にいるとすごく楽しい人でした。

気を遣いすぎなくてよくて、
何気ないことで笑えて、
一緒にいる時間が心地よかった。

付き合ってしばらくして、同棲も始まりました。

私はなんとなく、

「このまま結婚するんだろうな」

と思っていました。

でも、付き合って2年くらい経った頃。

将来について話した時、私たちの間に大きな温度差があることを知りました。

私は昔から、

「30までに子どもが欲しい」

という気持ちが強くありました。

子どもは2人欲しい。

できれば若いうちに出産したい。

体力のことや、将来のことを考えると、
私の中では“30歳”がひとつの目標でした。

でも彼は、何気なくこう言いました。

結婚は30くらいでいいかな。

その時は、笑って流したと思います。

でも心の中には、小さな不安が残りました。


好きだけど、将来が不安だった

彼のことは好きでした。

一緒にいると楽しいし、安心できる。

でもその一方で、

「この人、本当に結婚する気あるのかな」

という不安も、少しずつ大きくなっていきました。

理由は、結婚のタイミングだけではありません。

当時の彼はパチンコが好きで、貯金もほとんどありませんでした。

半同棲のような生活をしていた時期も、
私が仕事から帰ると、彼はパチンコで疲れて寝ていることがありました。

私は一人でお弁当を食べながら、

「このままで、本当に家族になれるのかな」

と考えることがありました。

一度、ちゃんと話し合って、

「俺、お金貯めるよ」

と言ってくれたこともありました。

でも、その次の日にまたパチンコに行かれた時、
私の中で何かが切れました。

好きだけじゃ、将来は決められない。

そう思いました。


「もう無理です。別れてください」

ある日、私はちゃんと話そうと思って、
自分の気持ちを全部伝えました。

たぶん、かなり必死だったと思います。

私はお母さんになるのが夢なの。

子どもは2人欲しいと思ってる。

だから30までには子どもが欲しい。

あなたといるとすごく楽しい。
でも正直、将来が不安。

そして最後に、かなり現実的なことも言いました。

あと、お金貯めるの苦手やん。

今思うと、優しい言い方ではなかったかもしれません。

でも、あの時の私は本当に不安でした。

このまま一緒にいていいのか。

この人と結婚して大丈夫なのか。

好きだけど、将来を考えると怖い。

そんな気持ちが限界まで来ていました。

私は彼に言いました。

もう無理です。
別れてください。

将来も何も考えずに、
お金ばっか使う人とは一緒にいれない。

そう伝えました。


「あと半年だけチャンス頂戴」

すると彼は、初めてちゃんと自分の気持ちを話してくれました。

30くらいでいいと思ってたのは、
周りがそのくらいで結婚してる人が多いから。

なんとなく30って区切りがいいと思ってただけ。

ちゃんと結婚は考えてる。

別れたくない。

そして、こう言いました。

本気で俺変わるから。
あと半年だけチャンス頂戴。

今年中に結婚しよう。

その言葉を聞いた時、
すぐに全部を信じられたわけではありません。

「本当に変わるのかな」

そう思いました。

でも、彼の表情や声から、
いつもとは違う真剣さも感じました。

だから私は、もう一度だけ信じてみようと思いました。


彼は、本当に変わろうとしてくれた

それから彼は、パチンコに行かなくなりました。

それまで頻繁に行っていたのに、
本当に行かなくなりました。

そして、

自分でお金持ってたら使ってしまうタイプやけん。

そう言って、お金の管理も私に任せてくれるようになりました。

もちろん、それだけで全部の不安がなくなったわけではありません。

喧嘩もしました。

価値観の違いに悩むこともありました。

でも、あの時の私は初めて思いました。

この人は、変わろうとしてくれている。

完璧な人になったわけじゃない。

急に全部がうまくいくようになったわけでもない。

でも、私の言葉を受け止めて、
ちゃんと行動を変えようとしてくれた。

それが、私にはすごく大きかったです。


私たちらしいプロポーズ

それから半年ほど経った頃、
彼はプロポーズをしてくれました。

場所は、家でした。

私がご飯を食べている時、
彼が仕事帰りにバラの花束を買って帰ってきました。

よくある“指輪パカッ”みたいなサプライズではありませんでした。

彼は少し照れながら、

俺と結婚してください。

と言ってくれました。

指輪はその時にはなくて、

今度一緒に指輪見に行こう。

と言ってくれました。

赤いバラの中に、1本だけピンクのバラが入っていました。

よく見るような、きれいに整った花束というより、
枝や葉っぱも少し残っていて、
なんだか彼らしい花束でした。

でも、それがすごく愛おしかったです。

私たちは、花束を持って一緒に写真を撮りました。

照れくさくて、少し笑いながら。

その時、私は思いました。

「ああ、本当に結婚するんだ」

そして、

「この人となら、ちゃんと家族になっていけるかもしれない」

そう思いました。


好きだけではなく、向き合うことが必要だった

あの頃の私は、
結婚は好きな人とするものだと思っていました。

もちろん、好きな気持ちは大切です。

でも、結婚を考えた時、
好きだけでは見ないふりできないこともありました。

お金のこと。

子どものこと。

将来のタイミング。

生活のこと。

そして、相手が本当に向き合ってくれる人なのか。

私はあの日、初めて彼に本気で伝えました。

「私はこういう未来を望んでいる」

「このままでは不安」

「変わってくれないなら一緒にはいられない」

かなり強い言葉も使いました。

でも、あの日ちゃんと伝えたから、
彼も初めて本気で向き合ってくれたのだと思います。

私たち夫婦は、最初から何でも分かり合えていたわけではありません。

むしろ、何度もすれ違ってきました。

でも、今振り返ると、
この時が最初の大きな分岐点だった気がします。

彼が初めて、
「変わるから」
と言ってくれた日。

そして私が初めて、
「好きだけじゃなく、将来をちゃんと見たい」
と伝えた日。

この時から少しずつ、
私たちはただの恋人ではなく、
夫婦になる準備を始めていたのかもしれません。


この時はまだ、妊活も不妊も遠い話だと思っていた

プロポーズを受けた時、
私は本当に嬉しかったです。

これから結婚して、
いつか子どもができて、
家族になっていく。

そんな未来を、自然に想像していました。

この時の私はまだ、
“妊活”とか“不妊”なんて言葉が、
こんなに早く自分たちに関係してくるとは思っていませんでした。

でも今思えば、
この時に彼が見せてくれた「変わろうとする姿」は、
その後の妊活でも何度も私を支えてくれることになります。

もちろん、すぐに全部がうまくいったわけではありません。

むしろこの後、
私たちは何度も不安になって、
何度もぶつかって、
何度も泣くことになります。

それでも、あの日の

俺、変わるから。

という言葉は、
私たち夫婦の始まりにあった大切な言葉でした。


次のお話

この頃の私はまだ、
妊活や不妊という言葉が、
こんなに早く自分たちに関係してくるとは思っていませんでした。

でも実は、結婚前から私は、
体の違和感をずっと抱えていました。

何度も婦人科に通って、
何度も「細菌性膣炎ですね」と言われて、
それでも原因が分からないまま不安だけが残っていました。

次のお話では、
結婚後も続いていた体の違和感と、
「気にしすぎ」と言われ続けた3年間について書いています。

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