※この記事は、私たち夫婦の体験談です。
症状や検査、治療については個人差があります。不安がある場合は、自己判断せず医療機関へ相談してください。
今度こそ、伝えないと。
昼休憩が終わって、仕事に戻ろうとした時でした。
ふと違和感があって、トイレに行きました。
おりものの量も、匂いも、いつもと違う。
その瞬間、頭の中に浮かんだのは、
「また細菌性膣炎かな」
ではありませんでした。
「もしかして、性病かもしれない」
そう思いました。
3年間、ずっと違和感がありました
私は、夫と付き合い始めてから約3年間、おりものの違和感にずっと悩んでいました。
婦人科には、たぶん6か所くらい行きました。
診察も10回近く受けました。
「細菌性膣炎ですね」
そう言われて薬をもらう。
薬を使うと一度はよくなる。
でも、やめるとまた戻る。
それを何度も繰り返していました。
時には、違和感があるのに、
「異常はありません」
「少し気にしすぎかもしれませんね」
そう言われたこともありました。
でも、私の中ではずっと分かっていました。
何かがおかしい。
ちゃんと治っていない気がする。
原因が分からないまま、ずっと不安だけが残っていました。
「一回だけ検査受けてほしい」と何度も伝えていた
付き合っている頃から、私は何度も夫に言っていました。
「不安やけん、一回検査受けてほしい」
でも返事はいつも、
「今度行くね」
でした。
その“今度”は、なかなか来ませんでした。
私はそのたびに、
「また流された」
と思っていました。
でも、強く言えませんでした。
責めすぎたら空気が悪くなる。
しつこいと思われるかもしれない。
そう思って、自分の不安を何度も飲み込んできました。
でも本当は、ずっと怖かったです。
もし何かの感染症だったらどうしよう。
もしそれが妊娠しにくさにつながっていたらどうしよう。
将来、赤ちゃんが欲しいと思った時に、後悔することになったらどうしよう。
そんな不安が、ずっと心の中にありました。
避妊をしなかった翌日、違和感が強くなった
結婚して、初めて避妊をしなかった翌日。
おりものの違和感が、今までと明らかに違いました。
量も、匂いも、いつもと違う。
その時、私は思いました。
今度こそ、伝えないと。
仕事中だったけど、我慢できなくて夫にLINEを送りました。
おりもの変な感じしてて、ちゃんと検査に行ってほしいです。
二人で検査受けよう。
不安でラインした。
送ったあと、15分くらい返信がありませんでした。
私は仕事をしていました。
でも、ずっとスマホが気になっていました。
通知が来るたびに、
「夫かな」
と思って画面を見ていました。
仕事をしているようで、頭の中は不安でいっぱいでした。
返ってきたLINEを見て、安心より先に怒りが出た
やっと返ってきたLINEには、こう書いてありました。
分かった、検査いく。
もし陽性だったらごめん。
本当なら、安心するはずでした。
「やっと行ってくれる」
そう思うはずでした。
でも、最初に出てきた感情は安心ではありませんでした。
怒りでした。
今まで何回も言ったやん。
私がずっと不安だった時は動かなかったのに。
自分が不安になったから行くんでしょ。
そんな気持ちが、一気にあふれてきました。
夫が検査に行くと言ってくれたことは、もちろん大事な一歩でした。
でも私は、「検査に行く」という返事だけが欲しかったわけではありませんでした。
本当は、
「今まで不安にさせてごめん」
「ちゃんと向き合っていなくてごめん」
そう言ってほしかったんだと思います。
仕事終わり、ひとりでクリニックへ向かった
その日、私は仕事が終わってから、空いているクリニックを探して性病の検査を受けに行きました。
怖かったです。
結果を聞くのも怖い。
もし陽性だったらどうしよう。
もし妊娠しにくさにつながっていたらどうしよう。
頭の中で、悪い想像ばかりしていました。
検査が終わる頃、夫が仕事終わりにクリニックまで迎えに来てくれました。
心配しているのは分かりました。
不安そうで、申し訳なさそうで。
でもその時の私は、
「迎えに来てくれてありがとう」
と素直に思える余裕はありませんでした。
電車で見たベビーカーの赤ちゃん
帰りの電車に乗った時、向かい側にベビーカーを押した夫婦がいました。
赤ちゃんが乗っていました。
その姿を見た瞬間、涙が出ました。
もしかしたら、私たちはこうなれないのかな。
そう思いました。
ただ性病が怖かったんじゃない。
私が本当に怖かったのは、
赤ちゃんを望めない未来でした。
夫は、私が泣いていることには気づいていました。
でも、なんで泣いているのかまでは分かっていなかったと思います。
隣にいるのに。
同じ電車に乗っているのに。
同じ景色を見ているのに。
私の中で何が崩れそうになっているのかまでは、まだ伝わっていませんでした。
その時、私は改めて思いました。
私の不安は、まだ夫には届いていないんだ。
家に帰って、私は夫を責めた
家に帰ってから、私は夫を責めました。
「人がこの3年間、どれだけ不安だったと思ってるん」
「もし陽性だったら恨むから」
かなりきつい言葉だったと思います。
今思い返しても、冷静ではなかったと思います。
でも、それくらい追い詰められていました。
怖くて、不安で、悔しくて。
今まで何度も伝えてきたつもりだったのに、届いていなかったことが苦しかった。
でも私は、責めながらもこう言いました。
「もし不妊とかなってたら、一緒に考えよう」
怒っていました。
傷ついていました。
でも、夫を置いていきたかったわけではありませんでした。
一人で抱えるのが、もう限界だったんです。
これから先に何が分かったとしても、ちゃんと二人で考えたかった。
その気持ちも、確かにありました。
本当に欲しかった言葉
その時、夫は言いました。
今まで検査行かなくて、本当にごめん。
その言葉を聞いた時、少しだけ心の奥がほどけた気がしました。
私が欲しかったのは、
「検査に行く」
という返事だけじゃありませんでした。
本当に欲しかったのは、
今まで私が不安だったことに気づいてくれる言葉でした。
3年間、一人で抱えてきた不安。
何度も婦人科に行って、何度も薬を使って、何度も「気にしすぎ」と言われて。
それでも消えなかった怖さ。
それがやっと、少しだけ夫に伝わった気がしました。
あの日、私は思いました。
やっと伝わった。
夫婦でも、言わないと伝わらないことがある
夫婦だからといって、何も言わなくても分かり合えるわけじゃない。
「検査に行って」
だけでは、伝わらないことがある。
本当は、
「私はこんなに不安なんだよ」
「一人で抱えるのが怖いんだよ」
そこまで言わないと、届かないことがある。
私たち夫婦は、最初から上手に向き合えたわけではありません。
何度もすれ違いました。
何度も泣きました。
何度も責めました。
でも、あの日から少しずつ、
不安を一人で抱えるのではなく、
二人で考える方向に進み始めた気がします。
今、同じように不安を抱えている人へ
もし今、同じように一人で不安を抱えている人がいるなら。
「検査に行ってほしい」
だけじゃなくて、
「私は今、こんなに不安なんだ」
という気持ちも、伝えてみてほしいです。
伝えなかったら、伝わらないことがある。
でも、伝えたことで、やっと始まることもある。
私たち夫婦にとって、あの日はきっと、
妊活の始まりというより、
不安を二人で抱える練習が始まった日でした。
次のお話
このあと、夫が受けた検査の結果で、私たちは思ってもいなかった言葉を聞くことになります。
「自然妊娠を期待するには、非常に不良な結果です」
性病検査のつもりで受けた検査から、夫の精液検査の結果、そして精索静脈瘤の可能性が分かっていきました。
続きは、次の記事に書いています。
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