「自然妊娠を期待するには非常に不良な結果です」
検査結果にそう書かれていたものの、
この時の私は、
まだ男性不妊についてほとんど知識がありませんでした。
精索静脈瘤という病気も、
この日初めて聞いたくらいです。
だから最初は、
「子供ができないって確定したわけじゃない」
「なら、まだ頑張れるよ」
そんな気持ちの方が強かったと思います。
彼も、
かなりショックを受けていました。
普段あまり弱音を吐かない人なのに、
この日はずっと静かでした。
だから私は、
とにかく一緒に頑張ろうと思いました。
そこから、
私たちは今後について話し合いました。
病院へ行くのか。
手術は受けるのか。
自然妊娠を目指すのか。
はっきりした答えが出たわけではなくて、
まずは「できることからやってみよう」というところに落ち着きました。
ただその頃から、私の中では少しずつ焦りが出てきていました。
私は、
不妊の可能性が分かった以上、
少しでも早く動きたいと思っていました。
「自然妊娠は難しい」
そう言われたことで、
急に時間がないような気持ちになっていたんです。
もし妊娠しづらいなら、
少しでも早く動かなきゃ。
気づけば、そのことばかり考えるようになっていました。
ネットで妊活について調べたり、
排卵日について勉強したり。
ドラッグストアで葉酸サプリを見つけて、
“妊活”と書いているだけで買ってみたりもしました。
“今できること”を、
必死に探していたんだと思います。
でも一方で、
彼との間には少しずつ温度差が生まれていきました。
私は、
「できることは全部したい」
という気持ちでした。
でも彼は、
妊活をすると言ったものの、
まだ気持ちが追いついていませんでした。
結婚したばかり。
しかも突然、自分に不妊の可能性があると言われたこと。
いろいろなことが重なって、整理がついていないように見えました。
子供についても、
私はずっと「30までに欲しい」と考えていたけれど、
彼は私ほど具体的に考えていたわけではありませんでした。
だから、
私みたいに必死にはなれていなかったんだと思います。
ある日、
彼にこう言われました。
「なんか義務感があって嫌」
正直、
かなりショックでした。
私は、
少しでも可能性を上げたくて必死だったからです。
でも今思うと、彼もどう向き合えばいいのか分からなかったんだと思います。
急に現実を突きつけられて、気持ちが追いついていなかったのかもしれません。
その頃から私は、排卵日を伝えることにも、
少し気を使うようになっていました。
一方で彼は、
妊活について深く調べることはなく、
「排卵日にしたらいいんでしょ?」
本当にそのくらいの認識でした。
私は焦ってて
彼は、
まだ現実を受け止めきれていない。
少しずつ、
気持ちのズレが大きくなっていきました。
そしてその頃から、
喧嘩が増えていきました。

