第5話 「自然妊娠は難しい」から始まった妊活

「自然妊娠を期待するには非常に不良な結果です」

検査結果にそう書かれていたものの、
この時の私は、
まだ男性不妊についてほとんど知識がありませんでした。

精索静脈瘤という病気も、
この日初めて聞いたくらいです。

だから最初は、

「子供ができないって確定したわけじゃない」

「なら、まだ頑張れるよ」

そんな気持ちの方が強かったと思います。

彼も、
かなりショックを受けていました。

普段あまり弱音を吐かない人なのに、
この日はずっと静かでした。

だから私は、
とにかく一緒に頑張ろうと思いました。

そこから、
私たちは今後について話し合いました。

病院へ行くのか。

手術は受けるのか。

自然妊娠を目指すのか。

はっきりした答えが出たわけではなくて、
まずは「できることからやってみよう」というところに落ち着きました。

ただその頃から、私の中では少しずつ焦りが出てきていました。

私は、
不妊の可能性が分かった以上、
少しでも早く動きたいと思っていました。

「自然妊娠は難しい」

そう言われたことで、
急に時間がないような気持ちになっていたんです。

もし妊娠しづらいなら、
少しでも早く動かなきゃ。

気づけば、そのことばかり考えるようになっていました。

ネットで妊活について調べたり、
排卵日について勉強したり。

ドラッグストアで葉酸サプリを見つけて、
“妊活”と書いているだけで買ってみたりもしました。

“今できること”を、
必死に探していたんだと思います。

でも一方で、
彼との間には少しずつ温度差が生まれていきました。

私は、
「できることは全部したい」
という気持ちでした。

でも彼は、
妊活をすると言ったものの、
まだ気持ちが追いついていませんでした。

結婚したばかり。

しかも突然、自分に不妊の可能性があると言われたこと。

いろいろなことが重なって、整理がついていないように見えました。

子供についても、

私はずっと「30までに欲しい」と考えていたけれど、

彼は私ほど具体的に考えていたわけではありませんでした。

だから、
私みたいに必死にはなれていなかったんだと思います。

ある日、
彼にこう言われました。

「なんか義務感があって嫌」

正直、
かなりショックでした。

私は、
少しでも可能性を上げたくて必死だったからです。

でも今思うと、彼もどう向き合えばいいのか分からなかったんだと思います。


急に現実を突きつけられて、気持ちが追いついていなかったのかもしれません。

その頃から私は、排卵日を伝えることにも、
少し気を使うようになっていました。

一方で彼は、
妊活について深く調べることはなく、

「排卵日にしたらいいんでしょ?」

本当にそのくらいの認識でした。

私は焦ってて

彼は、
まだ現実を受け止めきれていない。

少しずつ、
気持ちのズレが大きくなっていきました。

そしてその頃から、
喧嘩が増えていきました。

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