第4話 「帰ったら話がある」

結果が出る1週間、
私はずっと落ち着きませんでした。

「何もなかったら安心やね」

そう話してはいたものの、
心のどこかではずっと不安でした。

彼も、
検査を受けてから少し変わった気がしていました。

それまでは、

「症状ないし大丈夫やろ」

と言っていたのに、

「もし性病やったらどうしよう」

そんなふうに口にするようになっていたからです。

そして結果公開の日。

私は仕事中でした。

いつも通り仕事をしていた時、
彼からLINEが届きました。

そこに書かれていたのは、

「帰ったら話がある」

その一文だけでした。

その瞬間、
心臓がギュッとなりました。

「あ、陽性だったんだ」

そう思って、
すごくショックでした。

仕事中なのに、
ずっとそのLINEが頭から離れませんでした。

「私にも感染してるってこと?」

「やっぱり原因はそれだったのかな」

頭の中で、
ずっと色んなことを考えていました。

早く帰りたいのに、
その日の仕事はいつもより長く感じました。

家に帰ってすぐ、
私は彼に聞きました。

「陽性だったの?」

すると彼は、

「性病は大丈夫だった」

そう言いました。

その瞬間、
まず最初に出てきた感情は、
安心でした。

本当にホッとしました。

でも、
彼の表情は暗いままでした。

いつもより静かで、
すごく言いづらそうでした。

「でも、精液検査が良くなかった」

そう言って、
検査結果を見せてくれました。

そこには、

「自然妊娠を期待するには非常に不良な結果です」

と書かれていました。

正直、
その時の私は、
何がどう悪いのかもよく分かっていませんでした。

ただ、
“良くない結果だった”
ということだけは伝わってきました。

彼は少し黙ったあと、

「もしかしたら手術せないけんかもしれん」

そう言いました。

そして、

「子供できんかったらごめん」

って。

さらに、

「精巣の血管にコブがあるんだって」

そう言って、
初めて聞く病名を口にしました。

「精索静脈瘤」

その言葉を、
私はこの日初めて知りました。

正直、
その時の感情は今でもうまく言葉にできません。

びっくりした気持ち。

でも、
性病じゃなかったことへの安心。

そして、
“一緒に頑張ろう”
と思った気持ち。

色んな感情が、
一気に押し寄せてきました。

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