第3話|「自分が不安になったから行くんでしょ」夫に検査をお願いし続けた私の本音

※この記事は、私たち夫婦の体験談です。
症状や検査、治療については個人差があります。
不安がある場合は、自己判断せず医療機関へ相談してください。

夫から「検査行く」とLINEが来た時、
私は安心しませんでした。

最初に出てきたのは、怒りでした。

「今まで何回も言ったやん」

「自分が不安になったから行くんでしょ」

そう思ってしまいました。

ずっと不安だったのは私だった。
何度も検査に行ってほしいと伝えてきたのも私だった。

それなのに、夫がやっと動いたのは、
自分も「もしかしたら」と不安になった時でした。

本当は、そんなふうに思いたくなかった。

でもあの日の私は、
やっと行ってくれる安心より先に、
今まで届かなかった悔しさでいっぱいでした。


昼休憩が終わって、仕事に戻ろうとした時でした。

ふと違和感があって、トイレに行きました。

おりものの量も、においも、いつもと違う。

その瞬間、頭に浮かんだのは、

「また細菌性膣炎かな」

ではありませんでした。

「もしかして、性感染症かもしれない」

そう思いました。

3年間、ずっと抱えてきた不安が、
一気に胸の中に広がっていきました。

今度こそ、伝えないと。

そう思いました。


3年間、ずっと違和感がありました

夫と付き合い始めてから、
私は約3年間、おりものの違和感に悩んでいました。

色がいつもと違う。
においが気になる。
薬を使うと一度は良くなるのに、また繰り返す。

婦人科には何度も行きました。

細菌性膣炎ですね。
異常はありません。
少し気にしすぎかもしれませんね。

そう言われるたびに、
安心したいのに、安心しきれない自分がいました。

検査で大きな異常がないことは、
本当なら安心できることのはずです。

でも、自分の中では確かに違和感がありました。

この違和感は何なんだろう。
本当に気にしすぎなのかな。
このまま将来、妊娠に影響したらどうしよう。

そんな不安を、ずっと抱えていました。


夫にも検査を受けてほしかった

付き合っている頃から、
私は何度か夫に検査の話をしていました。

たぶん、3年間で5回くらい。

「一回だけ検査受けてみてほしい」

そう伝えたことがありました。

それは、ただ確認してほしいだけではありませんでした。

性感染症だったらどうしよう。
この違和感が、妊娠しにくさにつながったらどうしよう。
将来、赤ちゃんを望んだ時に後悔することになったらどうしよう。

そんな不安も、何度か夫に伝えたことがありました。

でも夫の返事は、いつもどこか軽い感じでした。

「今度行くね」
「俺症状ないし、多分大丈夫じゃない?」

そんな感じでした。

行くとは言ってくれる。
でも、結局行かない。

私はそのたびに、

また今度で終わるんだ。

と思っていました。

でも、強くは言えませんでした。

何度も言い続けたら、責めているみたいになる。
しつこいと思われるかもしれない。
空気が悪くなるかもしれない。

そう思うと、それ以上言えませんでした。

本当は、ずっと不安でした。

でも私は、
「検査に行ってほしい」という言葉の奥にあった気持ちまで、
うまく伝えきれていませんでした。

私は、ずっと怖かった。
ひとりで抱えるのが限界だった。
将来のことを、一緒に考えてほしかった。

そこまでは、言えていませんでした。


避妊をやめてから、不安が強くなった

結婚して、避妊をやめてから。

おりものの違和感が、
前より強くなったように感じました。

量も、においも、今までと違う気がする。

その時、私は一気に怖くなりました。

もしかして、性感染症なのかもしれない。
今までの違和感には、別の原因があったのかもしれない。
もし妊娠しにくさにつながっていたらどうしよう。

頭の中で、悪い想像ばかりが広がっていきました。

そして同時に、
怒りに近い気持ちもありました。

今まで何度か不安を伝えていたのに。
不妊につながるかもしれない怖さも話したことがあったのに。
それでも結局、検査には行ってくれなかった。

なのに、
自分が性感染症かもしれないとなったら、
やっと動くんだ。

当時の私は、そう感じてしまいました。

もちろん今なら、
夫にも夫なりの受け止め方や怖さがあったのかもしれないと思えます。

でもあの時の私は、
3年間の不安が一気にあふれていました。


仕事中に、夫へLINEを送りました

仕事中でしたが、
もう自分の中だけでは抱えきれませんでした。

私は夫にLINEを送りました。

おりものが変な感じがする。
ちゃんと検査に行ってほしい。
二人で検査を受けよう。
不安で連絡した。

送ったあと、しばらく返信はありませんでした。

仕事をしているのに、
頭の中はずっとそのことでいっぱいでした。

通知が来るたびに、
夫からかなと思ってスマホを見ていました。

早く返事がほしい。
でも、返事を見るのも怖い。

そんな気持ちでした。


返ってきた言葉に、安心しきれなかった

しばらくして、夫から返信が来ました。

検査に行く。
もし陽性だったらごめん。

そんな内容でした。

本当なら、安心するはずでした。

やっと行ってくれる。
やっと向き合ってくれる。

そう思えるはずでした。

でも、その時の私は安心しきれませんでした。

むしろ、怒りの方が先に出てきました。

今まで何度か不安を伝えていたのに。
妊娠に影響するかもしれない怖さも話したことがあったのに。
その時は、結局動いてくれなかった。

なのに、
自分が性感染症かもしれないとなったら、
やっと検査に行くんだ。

当時の私は、そう感じてしまいました。

夫が検査に行くと言ってくれたことは、
もちろん大事な一歩でした。

でも私は、
ただ「検査に行く」と言ってほしかったわけではありませんでした。

本当は、

今まで不安にさせてごめん。
ちゃんと向き合えていなくてごめん。
一緒に考えよう。

そんな言葉がほしかったのだと思います。


仕事終わり、ひとりでクリニックへ向かった

その日、私は仕事が終わってから、
空いているクリニックを探して検査を受けに行きました。

怖かったです。

結果を聞くのも怖い。
もし陽性だったらどうしよう。
もし将来の妊娠に影響していたらどうしよう。

まだ何も分かっていないのに、
頭の中では悪い想像ばかりしていました。

検査が終わる頃、
夫が仕事終わりにクリニックまで迎えに来てくれました。

心配してくれているのは分かりました。

不安そうで、
申し訳なさそうで。

でもその時の私は、
素直に「ありがとう」と思える余裕がありませんでした。

不安と怒りと怖さで、
心の中がいっぱいでした。


電車で見たベビーカーの赤ちゃん

帰りの電車に乗った時、
向かい側にベビーカーを押した夫婦がいました。

赤ちゃんが乗っていました。

その姿を見た瞬間、涙が出ました。

もしかしたら、
私たちはこうなれないのかな。

そう思いました。

私が怖かったのは、
検査結果だけではありませんでした。

本当に怖かったのは、
赤ちゃんを望めない未来でした。

夫は、私が泣いていることには気づいていたと思います。

でも、どうして泣いているのかまでは、
たぶん分かっていなかったと思います。

隣にいるのに。
同じ電車に乗っているのに。
同じ景色を見ているのに。

私の中で何が崩れそうになっているのかまでは、
まだ伝わっていませんでした。

その時、改めて思いました。

私の不安は、まだ夫には届いていないんだ。


家に帰って、気持ちがあふれた

家に帰ってから、
私は夫に気持ちをぶつけました。

冷静ではなかったと思います。

3年間、どれだけ不安だったか。
何度か検査を受けてほしいと伝えていたこと。
不妊につながるかもしれない怖さも話していたこと。
それでも結局、行動にはならなかったこと。

その全部が、一気にあふれました。

言葉は、きつくなってしまいました。

今思えば、
夫を責めるような言い方もしてしまったと思います。

でもあの時の私は、
ただ怒りたかったわけではありません。

怖かったんです。

自分の体の違和感も。
原因が分からないことも。
将来、赤ちゃんを望めないかもしれないことも。
その不安を、ひとりで抱えているように感じることも。

もう限界でした。

これから先に何が分かったとしても、
ちゃんと二人で考えたかった。

夫を置いていきたかったわけではなく、
夫にも一緒に抱えてほしかったのだと思います。


本当に欲しかった言葉

その時、夫は言いました。

今まで検査に行かなくて、本当にごめん。

その言葉を聞いた時、
少しだけ心の奥がほどけた気がしました。

私が欲しかったのは、
「検査に行く」という返事だけではありませんでした。

本当に欲しかったのは、
今まで私が不安だったことに気づいてくれる言葉でした。

不妊につながるかもしれないと不安だったこと。
何度か伝えても、結局行動につながらなかったこと。
そのたびに、ひとりで抱えているように感じていたこと。

それがやっと、
少しだけ夫に伝わった気がしました。

あの日、私は初めて思いました。

やっと伝わった。


夫婦でも、言わないと伝わらないことがある

夫婦だからといって、
何も言わなくても分かり合えるわけではありません。

「検査に行って」

だけでは、伝わらないことがある。

本当は、

私はこんなに不安なんだよ。
ひとりで抱えるのが怖いんだよ。
これからのことを、二人で考えたいんだよ。

そこまで言わないと、届かないことがあるのだと思いました。

私たち夫婦は、
最初から上手に向き合えたわけではありません。

何度もすれ違いました。
何度も泣きました。
何度も言いすぎました。

でも、あの日から少しずつ、
不安をひとりで抱えるのではなく、
二人で考える方向へ進み始めた気がします。


今、同じように不安を抱えている人へ

今、同じように不安を抱えている人がいるなら。

「検査に行ってほしい」

という言葉の奥にある気持ちも、
一緒に伝えてみてもいいのかもしれません。

私は今、こんなに不安。
ひとりで抱えるのが怖い。
責めたいんじゃなくて、一緒に考えてほしい。

そう伝えるのは、簡単ではありません。

私も上手には伝えられませんでした。

でも、伝えたことで、
やっと始まったこともありました。

私たち夫婦にとって、あの日はきっと、
妊活の始まりというより、
不安を二人で抱える練習が始まった日でした。


次のお話

このあと、夫が受けた検査の結果で、
私たちは思ってもいなかった言葉を目にすることになります。

「自然妊娠を期待するには、非常に不良な結果です」

性感染症の不安から受けた検査で、
夫の精液所見の低下や、精索静脈瘤の可能性が分かっていきました。

次のお話では、
夫の検査結果を見て、男性不妊という現実に初めて向き合った日のことを書いています。

▶ 第4話|帰ったら、話がある。


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