第13話|夫の手術が終わった日

※この記事は、私たち夫婦の体験談です。
検査結果や治療方針、術後の経過には個人差があります。
医療的な判断が必要な場合は、専門の医療機関へ相談してください。

夫の精索静脈瘤の手術日が近づいていました。

再受診で、
両側に精索静脈瘤があることが分かり、
手術で改善の余地があると説明されました。

夫は、
「手術受けるよ」
と言ってくれました。

怖いはずなのに。
本当は受けなくていいなら受けたくないはずなのに。

それでも夫は、
前に進むために手術を受けると決めてくれました。

私は本当に感謝していました。

手術日を含めて、
私は3日間仕事の休みを取りました。

夫が少しでも安心して過ごせるように。
術後に無理をしなくていいように。

大きなことはできないかもしれないけれど、
できるだけそばで支えたいと思っていました。

これは、
夫の精索静脈瘤の手術が終わった日の話です。


ふたりで病院へ向かった

手術当日。

私たちは、
ふたりで病院へ向かいました。

日帰り手術だと分かっていても、
局所麻酔だと聞いていても、
手術は手術です。

痛みはあるのかな。
怖くないかな。
無事に終わるかな。

そんなことばかり考えていました。

でも、
一番不安なのは夫のはずです。

だから私は、
自分の不安を出しすぎないようにしながら、
できるだけいつも通りに過ごそうとしていました。

夫が手術室へ向かう時。

その後ろ姿が、
少し不安そうに見えました。

その姿を見た瞬間、
胸がぎゅっとなりました。

頑張って。

心の中で、
何度もそう思いました。


待っている時間が長かった

手術は、
2時間半から3時間くらいかかる予定でした。

私は病院ではなく、
近くのお店で待つことにしました。

でも、何をしていても落ち着きませんでした。

今ごろ始まったかな。
痛くないかな。
怖くないかな。
ちゃんと無事に終わるかな。

頭の中は、
ずっと夫のことでいっぱいでした。

何かしていないと落ち着かなかったので、
夫の手術後に必要そうなものを買いに行きました。

ゆるめの下着。
締め付けの少ないズボン。
夫が好きそうなスイーツ。

少しでも楽に過ごせるように。
少しでも気持ちが軽くなるように。

そう思いながら選びました。

手術を受けるのは夫です。

私は待つことしかできません。

でも、
その「待つだけ」が思っていたよりも苦しくて、
何か夫のためにできることを探していました。


「終わったよ」のLINE

しばらくして、
夫からLINEが来ました。

「終わったよ」

その一文を見た瞬間、
私は本当にほっとしました。

無事に終わった。

まずはそれだけで、
胸の力が抜けました。

でも、
ほっとしたのと同時に、
早く夫の顔を見たいと思いました。

痛みは大丈夫かな。
ちゃんと歩けるのかな。
疲れていないかな。

安心したはずなのに、
またすぐに心配になりました。

私は夫を迎えに行きました。


術後の夫を見て、ほっとした

術後の夫を見た時、
本当は抱きしめたいくらいほっとしました。

無事に終わってよかった。

その気持ちでいっぱいでした。

でも、照れくさくて、
私はなぜか

「なんか老けた?」

と冗談を言ってしまいました。

今思うと、
素直に心配だったと言えばよかったのかもしれません。

でもその時は、
安心しすぎて、
うまく言葉にできなかったのだと思います。

そのあと、
ちゃんと伝えました。

「お疲れ様。ありがとう」

怖かったと思うし、
痛かったと思うし、
疲れたと思う。

それでも手術を受けてくれたことに、
本当に感謝していました。


「普通に痛い」と言っていた

夫に、

「痛い?」

と聞くと、
夫は

「普通に痛い」

と言っていました。

その言葉を聞いて、
やっぱり簡単なことじゃなかったんだと思いました。

術後の夫は、
痛そうでした。

疲れているようにも見えました。

歩く時も、
いつもより慎重でした。

でも同時に、

「思ったより大丈夫」

とも言っていました。

夫なりに、
私を心配させすぎないようにしていたのかもしれません。

でも私には、
身体にちゃんと負担がかかっていることが分かりました。

日帰りでも。
局所麻酔でも。
手術は手術でした。


家に帰って、夫はすぐに寝た

家に帰ると、
夫は安心したのか、
疲れたのか、
すぐに寝ていました。

その姿を見て、
また胸がいっぱいになりました。

本当に受けてくれたんだ。

怖かっただろうに。
痛かっただろうに。
疲れただろうに。

それでも、
手術を受けてくれたんだ。

そう思うと、
感謝の気持ちでいっぱいでした。

私は、
できるだけ夫が休めるようにしました。

ご飯を用意したり、
痛みは大丈夫か声をかけたり、
無理しなくていいように気をつけたり。

大きなことはできなかったけれど、
夫が少しでも安心して休めるようにしたかったです。


術後の数日は、動くたびに痛そうだった

手術が終わったからといって、
すぐにいつも通りに戻れるわけではありませんでした。

歩く時。
座る時。
寝る時。
力を入れる時。

何気ない動作でも、
痛みが出るようでした。

普段なら当たり前にできることが、
術後は少しずつ慎重になる。

その様子を見て、
手術を受けるということの重さを改めて感じました。

妊活のために、
夫が身体に負担のある選択をしてくれた。

そのことを、
私は忘れたくないと思いました。


「ありがとう」と何度も思った

夫に対して、
ありがとうという気持ちが何度も出てきました。

手術を受けると決めてくれてありがとう。

怖いのに、前に進もうとしてくれてありがとう。

痛い思いをしてまで、
妊活に向き合ってくれてありがとう。

もちろん、妊活はふたりのことです。

夫だけが頑張ったわけではないし、
私だけがつらかったわけでもありません。

でもこの日は、
夫が身体を使って前に進んでくれた日でした。

だから私は、
ただただ感謝していました。


手術を受ければ終わり、ではなかった

手術が終わったからといって、
すぐに結果が分かるわけではありません。

精液所見が改善するのか。
自然妊娠の可能性が広がるのか。
どれくらい時間がかかるのか。

その時点では、
まだ何も分かりませんでした。

手術をしたから大丈夫。

そう簡単に思えるわけではありませんでした。

でも、
できることをひとつやった。

夫が前に進む選択をしてくれた。

その事実は、
私たちにとって大きな一歩でした。

結果がどうなるか分からなくても、
「やれることはやった」と思えることが、
少しだけ支えになりました。


支える側でいることも、妊活だった

妊活というと、
排卵日を気にしたり、
検査結果を見たり、
治療のことを考えたり。

どうしても、
「妊娠するために何をするか」に意識が向きます。

でもこの時、
私は思いました。

支えることも、妊活なんだ。

痛みがある夫を気にかけること。
無理をしないように見守ること。
安心して休めるように整えること。
ありがとうを伝えること。

そういうことも、
ふたりで妊活をするということなのかもしれない。

夫が手術を受けてくれたからこそ、
今度は私がちゃんと支えたい。

そう思いました。


夫婦の距離が、少し近づいた気がした

それまで私は、
どこかで自分ばかりが妊活を進めているように感じていました。

排卵日を気にするのも私。
病院の話を切り出すのも私。
先のことを考えて不安になるのも私。

そんなふうに思ってしまう時期もありました。

でも夫は、
夫なりにちゃんと向き合おうとしてくれていました。

言葉にするのが得意ではなくても、
行動で示してくれました。

手術を受けるという形で、
前に進んでくれました。

そのことが、
私にはとても大きかったです。

この日を境に、
夫婦の絆が少し深まったような気がしました。


今振り返って思うこと

夫の手術が終わった日。

私は、
無事に終わったことにほっとしました。

でも同時に、
手術は簡単なことではなかったと強く感じました。

日帰りでも、
局所麻酔でも、
身体に負担があることに変わりはありません。

痛みも、腫れも、
術後の生活への影響もありました。

それでも夫は、
妊活のために、
夫婦で前に進むために、
手術を受けてくれました。

そのことに、
私は今でも感謝しています。

あの日、夫が手術を受けてくれたことは、
私たち夫婦にとって、
とても大きな出来事でした。

結果がどうなるかは、
まだ分からない。

でも、
ふたりで一歩進めた。

そう思えた日でした。


同じように不安を抱えている人へ

パートナーが治療や手術を受ける時、
見守る側も不安になると思います。

受けてほしい気持ち。
でも、無理はしてほしくない気持ち。

前に進みたい気持ち。
でも、相手の身体が心配な気持ち。

その両方があって、
心が揺れることもあると思います。

私もそうでした。

手術を受けるのは夫でした。

でも、
夫がひとりで頑張るものにはしたくありませんでした。

何か大きなことができなくても、
そばにいること。
必要なものを用意すること。
ありがとうを伝えること。
安心して休めるようにすること。

それも、
ふたりで向き合うことのひとつなのかもしれません。


次のお話

夫の手術が終わり、
少しほっとした頃。

今度は、
私自身の身体のことも気になり始めました。

長く続いていたおりものの違和感。
ウレアプラズマのこと。
そして、妊活をしていく上で、
自分の身体もちゃんと知っておきたいという気持ち。

夫が向き合ってくれたからこそ、
私も検査を受けようと思いました。

次のお話では、
私が女性ブライダルチェックを受けようと思った日のことを書いています。

▶ 第14話|私にも原因があるかもしれない


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